福田ゆみ:みなさん、初めまして。福田ゆみです。

隅田:初めまして。税理士法人SASGA代表の隅田です。
ゆみさんには、さすがーるを引き受けていただいて本当にありがとうございます。


福田ゆみ:いえいえ。とっても光栄です。こちらこそありがとうございます。

ところで、税務会計講座ということなのですが、
どんなことを教えてくださるのでしょうか。そして、私、ついていけるんでしょうか?
先生、よろしくお願いします。


隅田:こちらこそよろしくお願いします。
今回は、初回ということで、「ボキ」について話します。


福田ゆみ:え? ぼ、ぼ、「ボキ」ですか?

隅田:はい、「簿記」です。んーと、まあ、そういう記録方法があるんですね。
あまり聞かない言葉ですが、これが分からないと、税務も会計も分からない、とても大事な記録方法です。


福田ゆみ:そんなに大事なものなんですね。でも、やっぱり難しそう。


隅田:そうですよね。それを、分かるように噛み砕いて話していきますので、どうぞお付き合いよろしくお願いします。
まずは、簿記という記録方法により、どんなものが出来上がるのか、見てもらいましょう。



隅田:これは、「貸借対照表」と言う、簿記によって作られる表の1つです。
「現金」・「商品」・「借入金」、そして「資本金」のことを、「勘定科目」とか、単に「科目」と言い、それぞれの科目の残高が書いてあるのですが、
現金を60万円分、商品を70万円分持っていることが分かりますよね。


福田ゆみ:これって、左右の合計が一緒ですよね。

隅田:よくぞ気づいてくれました。左右(借方・貸方)の残高の合計は必ず一致するのが「貸借対照表」です。
そして、このような表に出来上がったウラには、次の3つの記録があります。


@ 現 金  100万円 / 資本金   100万円
A 現 金   30万円 / 借入金    30万円
B 商 品   70万円 / 現 金    70万円

隅田:これは、仕訳といいます。1つ1つ、意味があるんですよ。

福田ゆみ:どういう意味ですか?全然分かりません。

隅田:確かに、単語と金額の羅列にしか見えませんよね。解読すると、
@は、商売をスタートするのに現金100万円を自分で準備した、という意味です。補足すると、資本金とは、スタートに必要で自分で準備したお金のことです。
Aは、誰か別の人からお金を30万円借りてきた、という意味です。
Bは、現金で70万円の商品を買ってきた、という意味です。


福田ゆみ:ちょっと待ってください。
@って、現金イコール資本金ですよね。左に資本金100万円って書いても・・・。


隅田:そこは、私も最初つまずいたところです。
でも、左右は原因と結果の関係になっていると分かれば、すっと理解できますよ。


福田ゆみ:原因と結果の関係・・・?

隅田:3つとも、借方には資産がありますよね(財産と言ったほうが分かりやすいかな)。いわば、このような財産を手に入れたという結果です。
貸方には、その財産をどのようにして手に入れたかを書いています。「どのようにして」ですから、いわば原因です。
つまり、借方に結果が、貸方に原因が、それぞれ書かれています。
資本金と表現するのは、それが現金を手に入れた「原因」を意味しているからです。


福田ゆみ:なんだか、1つの言語みたいですね。

隅田:そうです。これは言語と言っていいんです。しかも、全世界共通。
簿記で、世界中の人と会話ができます、本当に。


福田ゆみ:簿記ってすごいんですね。

隅田:すごいんですよ。って、私が自慢することじゃありませんが。
このように、経済活動1つ1つを@からBのように仕訳で記録した結果、最初に見てもらった「貸借対照表」という表が出来上がるわけです。
貸借対照表とは、現在の財産の内訳を表したものです。
実はこれも、原因と結果の両方が書いてあります。


福田ゆみ:ここにもですか!

隅田:はい。現金と商品を持っている、これが結果です。
そしてこれは、資本金と借入によってお金を調達したから。これが原因です。


福田ゆみ:本当だ。左右で原因と結果になってる。

隅田:ところで、ゆみさんはお小遣い帳をつけたことはありますか。


福田ゆみ:はい、あります。

隅田:続いて質問。「財産」と聞いて、どういうものを思い浮かべますか。

福田ゆみ:そうですね・・・。お金はもちろんですし、土地も建物も、車も。株なんかもそうですよね。
あと、過去の失敗も「財産」です。


隅田:そういうプラス思考は大事ですよね。形のない財産です。
すみません。いまそういう話、してないんですよ。


福田ゆみ:(笑)


隅田:お小遣い帳に、土地や建物、車に株式、こういう立派な財産を持っていることを、書けます?

福田ゆみ:「買った」っていうことなら書けますけど、「持っている」ことは書けないですね。


隅田:そうでしょう。書けません。
お小遣い帳をつけるのも、立派な簿記の一種なのですが、「単式簿記」と言って、お金の増減ぐらいしか記録できないという限界があります。
一方で、@からBのような借方と貸方のある記録方法を「複式簿記」と言います。複式簿記なら、お金以外の財産を持っていることを書くことができます。


福田ゆみ:ホントですね。

隅田:財産だけではありません。いくら借金を抱えているかも丸わかりです。

福田ゆみ:そっちも分かっちゃうんですね。

隅田:「複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。人間の精神が産んだ最高の発明の一つだね。」
と、ゲーテという近代ヨーロッパの戯曲家も言っています(『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』)。
ゆみさん、簿記ってどうですか?


福田ゆみ:面白いかも。

隅田:その感想が欲しかったんです。ありがとうございます。
そして簿記には、もっと魅力的なことがあるんですよ。でも、長くなりますので、次回お話します。


福田ゆみ:次回、どんなお話があるのでしょうか。先生、ありがとうございました。

POINT
1.貸借対照表は、借方合計と貸方合計が一致する。
2.簿記は、原因と結果の関係が記された1つの言語。
3.複式簿記なら、財産も借金も丸分かり。